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武蔵国分寺 薪能 [日記&音楽情報]

ちょっと時間がたってしまいましたが、先週の土曜日(9/18)の薪能鑑賞のことを。

演目は狂言「鬼の槌(おにのつち)」と、お能「巻絹(まきぎぬ)」、どちらもはじめて見た演目ですが、特に「鬼の槌(おにのつち)」は、この演目を復元した佐渡鷺流狂言研究会以外に演じることのない、とても珍しい演目だそう。
このストーリーがとっても面白かったです。

蓬莱の島に住む鬼が、辰の市見物のために、日本に渡ってきました。道中、二人連れの男と出会い、道連れになろうと声をかけますが、二人には鬼の姿が見えません。

そこで鬼は、身に着けている笠と蓑を脱ぎました。すると、二人に鬼の姿が見えるようになり、その姿を恐ろしがりましたが、鬼は「人を食うような悪い鬼ではない」といい、二人の男は安心し、鬼のリクエストに応えて、持っていた酒を鬼に振る舞い、酒盛りをはじめます。
二人の男が舞いを舞ってみせた褒美にと、鬼は笠と蓑を二人の男にプレゼント。
さらに鬼は、望みのものを何でも打ち出すことのできる打ち出の小槌を肌身離さず懐中しているといいます。

酒が進み、鬼はベロンベロン。ついには歩くこともできなくなり、寝入ってしまいました。
すると二人の男は、鬼が持っている宝物、打ち出の小槌を盗もうと相談し、眠りこける鬼の懐から打出の小槌を盗み出しますが、互いに自分のものだと言い張って奪い合いになりました。
その騒がしさに鬼が目をさまし、打出の小槌を盗られたことを怒り出します。
二人の男は手をついて謝りました。

すると鬼はあっさり許し、二人が打出の小槌を奪い合わないようにと、二人に向かって交互に打出の小槌を振り、男たちは笠と蓑を土産に、喜んで帰ってゆきました。
そして鬼も、打出の小槌を振りながら、蓬莱の島へと帰って行きます。

というおはなし。

打出の小槌を盗んだ男たちをこらしめるのではなく、どっちの願いもかなうようにと、鬼が二人に向かって交互に打出の小槌を振ってあげるという展開が、なんとも意外でした。

このお話、何を意味しているのでしょうねえ。
幸せは独り占めしようとすれば争いになる、ってことでしょうか。
悪事をしても、非を認めて素直に謝れば、幸せが降り注ぐっていう意味でしょうか。
鬼は恐ろしく見えても、人をとって食う恐ろしい鬼ばかりではない、っていう意味でしょうか。

心温まる良いお話にほっこりしてしまいました。

しかし、世の中、これとは反対ですね。

ひとつの打出の小槌を奪い合う政治家。
押収した証拠物を改ざんするという悪事をはたらきながら、わざとじゃないとシラをきる検事。
泣き落としで親心につけこみ、高齢者を食い物にするオレオレ詐欺師たち。

すばらしい蓬莱の島の鬼、見習いたいですねえ。





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